仮想通貨「イーサリアムクラシック」とは?特徴や買い方、今後の将来性について

仮想通貨「イーサリアムクラシック」とは?特徴や買い方、今後の将来性について

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イーサリアムクラシックは、2016年7月20日にイーサリアムから分裂して誕生しました。ここでは、イーサリアムクラシックの特徴や今後の将来性についてまとめてみましょう。

イーサリアムクラシックの概要

イーサリアムクラシックはイーサリアムからハードフォークして分裂したと思っている方が多いようです。しかし、実際にハードフォークしたのはオリジナル・イーサリアムで、イーサリアムクラシックはオリジナルのブロックチェーンを引き続き守る立場を選び、その結果両者は分裂します。

分裂の原因は“THE DAO事件”です。事件の経緯については「イーサリアムクラシックの特徴」にまとめています。
イーサリアムクラシックのドキュメンテーションを見ると「Ethereum財団はDAOの惨事に最悪の形で対応しました」書かれています。クラシック・イーサ側の怒りの程が、この言葉から読み取れます。

その分、2016年7月以前のイーサリアムの技術はそのままクラシック側に引き継がれていますので、スマートコントラクトを実行する分散型プラットフォームとしてのイーサはイーサリアムクラシックとなっても変わりません。また分散型アプリケーションの技術も同じです。
今後、必要なアップデート等を繰り返していくなかで、両者の違いはより明確になってくるでしょう。

イーサリアムクラシックの仕様

  • ハッシュアルゴリズム
    イーサリアムクラシックはイーサリアムと同じくアルゴリズム「Ethash」を使用しています。
    「Ethash」にはASIC耐性が備わっており、これによってASIC以前のマイニング機器(GPUなど)を使ってマイニングができます。
  • ブロック制作間隔
    イーサリアムクラシックのブロック生成時間は平均15秒〜17秒で、2018年3月現在はこの点もイーサリアムと同じです。ただし、イーサリアムが通称“Casper”に移行したあとは、両者のブロック生成時間は変わってくると考えられます。

  • 発行総数
    イーサリアムは発行上限が決められていませんが、イーサリアムクラシックは2億1000万枚。またイーサリアムクラシックは、500万ブロックに達すると、新規発行量(マイニング報酬)を20%減らしていくことが決められています(減少期と言う)。これは2017年の12月のハードフォークで実装しているため、クラシック側独自の変更部分となります。
    なお、イーサリアムクラシックの内部通貨はclassic ether(クラシック・イーサ)で通貨単位はETCです。

  • 取引承認方法(コンセンサス・アルゴリズム)
    イーサリアムクラシックの取引承認方法はProof of Works (プルーフ・オブ・ワーク)が使われています。

イーサリアムクラシックの特徴

イーサリアムクラシックは2016年7月にイーサリアムとのハードフォークによって誕生しました。分裂の原因となったのは有名な“THE DAO事件”です。少し長くなりますが、イーサリアムクラシックの特徴を知る上で外せない話題ですので、できるだけ端的に触れておきます。

THE DAOは、イーサリアムのネットワークから生まれた非中央集権的な投資ファンドです(もともとDAOには自立分散型組織という概念があります)。そんなTHE DAOの脆弱性を突いて、2016年6月17日に資金の不正流出事件が起こります(当時のレートで約65億円と言われています)。幸いTHE DAOには、不正な資金を28日間動かせないルールが備わっております。不正流出を企てたハッカーにもそのルールが適用されました。

これでイーサリアム側に28日間の猶予期間が生じ、不正流出事件にどのように対処するかがその間に話し合われました。そしてイーサリアム側が出した答えが、ハードフォークすることで取引履歴をハッカーによる不正流出が行われる前に戻すというものです。
結局この案が選ばれイーサリアムは多額の資金流出を防いだのですが、コミュニティの一部からは、この案の決定方法があまりに中央集権的すぎるとの批判の声が高まりました。こうした内部衝突が生じ、フォークしたオリジナルチェーンにとどまったのがイーサリアムクラシックです。

THE DAO事件の経緯から、イーサリアムクラシックの開発チームが「Code is low」という思想や、仮想通貨の非中央集権的な考えを非常に大事にしていることがわかります。

では、次はイーサリアムクラシックの技術的特徴についてみていきます。

イーサとクラシック・イーサは基本ラインは全く同じで、スマートコントラクトを実行する分散型プラットフォームです。クラシック・イーサは、オリジナル・イーサリアムのブロックチェーンを引き継ぎ、未改造の履歴を保存しています。
またイーサリアムでしばしば話題になる分散型アプリケーションのdappsですが、クラシック・イーサでもイーサリアムと同様につくれます。ハードフォークした2016年7月以前から備わっているイーサリアムの技術は、すべてイーサリアムクラシックでも行えます。

ただ、それでは分裂した意味がありませんので、イーサリアムクラシックもオリジナル性を打ち出すように変わってきています。そのひとつがIoT(Internet of Thing・モノのインターネット)分野への進出です。
IoTといえば同じ仮想通貨でいえばIOTAも取り上げていますが、技術的にはイーサリアムクラシックのほうが一歩進んでいるといわれています。ただIoT分野の開発は、時間のかかる取り組みになることは間違いありません。

もっと近いところでいうと、イーサリアムクラシックはイーサリアムプロトコルを基盤とした独自のブロックチェーン「カリスト(Callisto / CLO)」がエアドロップ(ハードフォークの一種)する予定です。カリストのエアドロップは、クラシック・イーサが550万ブロックに到達した時点に実行予定の懸案です(ちなみに予定日の3月5日です)。
イーサリアムクラシックにとってカリストをハードフォークする意味は、クラシック・イーサとカリスト、両者のスケーラビリティが共に向上することにあります。
なお初期配布にあたりETCを保有している人は、1:1の割合でカリストを自動的に受け取れます。海外の取引所にイーサリアムクラシックを保有している方は、カリストを受け取れる可能性があります。

イーサリアムクラシックの使い道

イーサリアムクラシックは、幾つかチャージができるデビットカードが海外にありますので紹介しておきます。

イーサリアムクラシックがチャージできる「Wirex」と「Spectrocoin」
Wirex、Spectrocoinの2枚は海外のデビットカードで、イーサリアムクラシックがチャージができるようです。ただWirexについてはメンテナンスが入ると、一時的にデポジットできないことがあるようですので取り扱いに注意してください。

WirexやSpectrocoinなどのカードは、イーサリアムクラシックをデポジットすると、Wirexはビットコインに、またSpectrocoinはビットコイン以外にダッシュやイーサリアムに換算され使用できるようです。

日本国内ではビットコインがチャージできるバンドルカードというVISAデビットがありますが、イーサリアムはビットコインのような決済代行サービスがおそらく今年あたり出てくるのではないかと予想してます。
イーサリアムクラシックにはそのような話はありませんので、デビットカードの存在は助かります。

なお、2018年1月時点で使えないことが分かっているカードにUQUIDカードがあります。UQUIDカードは仮想通貨の話題でよく見かけるカードですが、現状はVISAもMasterCardも対応していません。

イーサリアムクラシックの価格

イーサリアムクラシックはほかの仮想通貨と同様、全般的に大きく価格が上昇しています。そんな中、2017年の11月末頃、イーサリアムクラシックは一時的に価格を高騰させています。価格高騰の理由は、12月12日に控えている発行総数の減少期とハードフォークによるものです。

その後も12月20、1月14日に5000円近くまで値を上げたものの、2月6日に底を打ちながら価格が上昇しているのは、クラシック・イーサが例のエアドロップでCLOを配布するアナウンスがあったからです。

現在ETCは2500円前後を付けていますので、価格としては決して高いレベルではありません。ただ、山あり谷ありが続きますが、イーサリアムクラシックの持つポテンシャルからして、このレベルで終わる通貨でないことは確かです。イーサリアムクラシックはオリジナルと比較すると地味な印象が拭えませんが、2018年も地道に価格を伸ばしてくるでしょう。

イーサリアムクラシックの買い方

・bitflyer(ビットフライヤー)
・DMM Bitcoin(ディーエムエムビットコイン)

イーサリアムクラシックが買える取引所
  • Binance
  • Kraken
  • OKEx
  • Coincheck(コインチェック)*現在取引停止中

イーサリアムクラシックが買える取引所・販売所はbitflyer(ビットフライヤー)とDMM Bitcoin(ディーエムエムビットコイン)です。bitflyerは販売所形式、DMM Bitcoinはレバレッジ形式で売買できます。

ちなみに、DMM Bitcoinは現物買いができるのはビットコインとイーサリアムのみです。また、ETCのようなアルトコインをレバレッジ取引する場合、DMM Bitcoinはほかの取引所に比べてスプレッドがやや広いことが気になります。レバレッジトレードを望まない場合は、必然的に販売所形式でもbitflyerを選ばざるを得ません。

なお、イーサリアムクラシックがカリストをエアドロップする前に買いたい(フォークコインをきちんと受け取りたい)場合は、日本の取引所を使っても現在はフォークコインを受け取れません。日本仮想通貨事業者協会がハードフォークしたコインの取り扱いを自主規制しており、取引所もこの姿勢を守っているからです。
そのため、カリストの取得を狙ってイーサリアムクラシックを新たに買う場合は、日本の取引所ではなく、海外の取引所から購入することになります。その場合におすすめなのが、香港のBinance(バイナンス)とKucoin(クーコイン)です。

香港の仮想通貨取引所のBinanceとKucoinはフォークコインの付与に積極的で、技術的に進歩が見られないフォークコインは除くとしながらも、公式発表しているフォークコインの付与には対応すると表明しています。

今回のカリストのエアドロップには間に合わないかもしれませんが、BinanceとKucoinならフォークコインがもらえる可能性があります。

イーサリアムクラシックの将来性

イーサリアムクラシックにとっても、2017年はバブルがかった1年でした。しかし、イーサリアムクラシックはイーサのオリジナルチェーンを大切に引き継でいます。その価値は簡単に色褪せることはないはずです。

イーサリアムといえば、やはりヴィタリック・ブテリンの存在感が大きいですし、彼がいないイーサリアムクラシックは、投資家から地味に映っていまいます。しかしヴィタリックのやっていることが、常に正しいわけではありません。地道に開発を続けていけば、クラシック側にも注目が集まる時期がかならずやってきます。

幸いイーサリアムクラシックには、これといって懸念材料は見当たりません。イーサリアムクラシックは、まだこれから十分期待できる仮想通貨でしょう。

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